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口腔内スキャナーを利用した矯正治療計画立案の有効性について

2020年10月3日

2020年 日本歯科審美学会で発表を行いました。

コロナ禍の影響でオンラインでの開催になりましたが、「PE-18」にで発表を行いました。

 

発表内容は以下です。

(一部改変しております)

 

 

 

口腔内スキャナーを利用した矯正治療計画立案の有効性について

Effectiveness of Orthodontic Treatment Planning Using Intraoral Scanner

〇大前正範 1 )、 竹内 摂 2) 、 初岡昌憲 2) 、 岩田有弘 2) 、 山本一世 2)
〇Omae Masanori 1), Takeuchi Osamu 2) , Hatsuoka Masanori 2),  Iwata Naohiro 2) , Yamamoto Kazuyo 2)
1)北歯科医院  2 )、大阪歯科大学 歯科保存学講座
1)KitaDetal Clinic  2 )、Department of Operative Dentistry, Osaka Dental University

 

[目的]

 

近年、口腔内スキャナを利用した矯正治療が行われている.口腔内スキャナを用いることで、コンピューターソフト上で矯正治療の計画が立てることが可能となった.

今回は比較的軽度の叢生を主訴をとする患者に術前の矯正シミュレーションを行いマウスピース矯正を行った症例を報告する.

 

[方法]

 

口腔内スキャナにはiTero( Align 社)を使用した.臼歯部の咬合は AngleⅠ 級で、前歯に軽度の叢生が認めれらる症例について検討を行った.

矯正治療にはインビザラインGO (Align 社)のシステムを利用した.

口腔内スキャナで歯牙のスキャンおよび咬合を採得後、 outcome simulator で矯正後の歯列状態のシュミレーションを行った.その後、クリンチェックを行い矯正治療計画を立案した.

矯正治療終了後、iTero にて歯牙のスキャンを行い矯正治療終了後の状態を記録した.

なお、いずれの症例においても追加アライナーは使用しなかった.

 

[症例1]

 

患者:25歳
女性
前歯部叢生を主訴に来院
既往歴に特記事項なし

 

 

ケースアセスメント

治療経過

 

 

 

[症例2]

 

患者:26歳
女性
前歯部叢生を主訴に来院
既往歴に特記事項なし

 

 

ケースアセスメント

治療経過

 

 

[考察]

 

両症例ともにoutcome simulator とクリンチェックは同程度の矯正治療の結果を予測した.

また、インビザライン GOでの矯正治療後はクリンチェックで示された矯正治療計画とほぼ同じ結果となった.

本症例ではケースアセスメントの判定において矯正治療の難易度が比較的軽度の症例であった、さらにインビザライン GO では大臼歯の移動は行わない.

そのため、矯正治療の難易度も低く、 outcome simulator とクリンチェックの矯正治療計画に大きな差異が生じなかったと考えれる.

Outcome simulatorはiTero で口腔内スキャン後に数分で矯正治療のシュミレーションが可能である。そのため、矯正治療における治療計画立案に有効であると考えられる.

 

*本演題に関連し、演者らに開示すべきCOIはありません.

 

 

発表内容は以上です。

 

インビザラインコンヘリシブパッケージ(インビザラインフル)でもiTeroによる outcome simulatorで矯正シュミレーションは可能です。

インビザラインコンヘリシブパッケージは大臼歯の移動も可能で幅広い症例に対応することができます。

噛み合わせの基準となる大臼歯が動かせるため、矯正治療計画が複雑となり、outcome simulator での矯正シミュレーションは参考になりません。

その後のクリンチェックと呼ばれる矯正治療計画を歯科医師が立案する必要があります。

また、マウスピースの数に制限はありません。

 

一方で、インビザラインGOは大臼歯を動かすことはできません。歯を動かす距離にも制限があり、マウスピースは20ステップまでと制限されています。

そのため、outcome simulator での矯正シュミレーションも予測性が高くなります。

インビザラインGOは第2小臼歯までの上下20本だけの制限もの多いマウスピース矯正システムですが、適応する症例では非常に信頼性の高い矯正治療です。

マウスピース矯正システムのシステムが変わると治療期間がどれだけ変わる?

2020年05月24日

マウスピース矯正システムのシステムが変わると治療期間がどれだけ変わる?

 

現在、マウスピース矯正システムは数多くあります。
その中でも大きく2種類に分けられます。

 

以前のBLOGでも解説しましたが、改めて記載します。

 

 

ワンインプレッションシステム

 

最初の型取りで最終ステップまでのマウスピースを作成するシステム
マウスピース矯正期間中に型取りが不要なため、矯正期間が短くなる
口腔内スキャナが必要になることもあり、医院側の導入ハードルが高い
1ステップ1~2週間でマウスピースを交換

 

 

 代表的なシステム

 

  • インビザライン(インビザラインGO含む)
  • クリアコレクト

 

 

マルチインプレッションシステム

 

矯正期間中に複数回型取りを行い、その都度マウスピースを作成していくシステム
途中で矯正治療の計画の修正や変更が可能だが、型取りのたびに納品待ちの期間が生じ、矯正期間が長くなる
口腔内スキャナが不要なので、医院側の導入ハードルが低い
1ステップでソフトとハードの2種類のマウスピースをそれぞれ1~2週間ほど装着するシステムが多い

 

 代表的なシステム

 

  • アソアライナー
  • スターアライン
  • シースルーアライナー
  • キレイライン

 

 

それでは同じ症例でどれだけ矯正期間に差が出るか検証しました。

 

 

検証1

インビザラインGO と 某社マルチインプレッションシステム

 

20代女性のケースです。

インビザラインGOでの治療計画(クリンチェック)

 

 

 インビザラインGOでの治療期間は15ステップ

 

矯正期間

 

オーダーしてからマウスピースの納品まで 2週間

1ステップ毎のマウスピース装着期間は1~2週間(平均10日間)
総マウスピース装着期間 平均10日間として約150日(約22週間)

  総矯正期間 24週間(6か月)

 

 

 

 

某社マルチインプレッションシステムでの治療計画

某社マルチインプレッションシステムでの治療計画は16ステップ

 

 矯正期間

 

オーダーしてからマウスピースの納品まで 4週間

1ステップ毎のマウスピース装着期間
ソフト+ハード 3週間
総マウスピース装着期間 48週間

矯正期間中の型取り 4回
マウスピース納品期間 4週間が4回で合計16週間

  総矯正期間 68週間(約17か月)

 

 

おなじ人、同じような矯正治療計画でもシステムが異なれば矯正期間はこれだけ変わります。

 

 

インビザラインGO 約24週間

S社 マルチインプレッションシステム 約68週間

 

 

どちらのシステムもメリット・デメリットがありますのでご自身にあったシステムを選ぶことが重要です。

 

 

同様に別のシステムでの比較も検証します。

 

検証2

クリアコレクト と 某社マルチインプレッションシステムの比較

 

30代女性のケースです。

 

クリアコレクトでの治療計画

クリアコレクトはインビザラインと同様のワンインプレッション型のマウスピース矯正しすてむです。

インビザラインよりはやや厚めのマウスピースを用います。

クリアコレクトでの矯正期間は25ステップ

 

 

 

 矯正期間

オーダーしてからマウスピースの納品まで 2週間

  1ステップ毎のマウスピース装着期間は2週間
総マウスピース装着期間 50週間

 総矯正期間 52週間(約13か月)

 

 

 

某社マルチインプレッションシステムでの治療計画

某社マルチインプレッションシステムでの矯正期間は30ステップ

 

矯正期間

 

オーダーしてからマウスピースの納品まで 4週間
1ステップ毎のマウスピース装着期間
ソフト+ハード 3週間
総マウスピース装着期間 90週間

矯正期間中の型取り 8回
マウスピース納品期間 4週間が8回で合計32週間

総矯正期間 126週間(約32か月)

 

 

 

クリアコレクト(ワンインプレッションシステム) 約52週間

C社(マルチインプレッションシステム) 約126週間

 

 

 

このような結果になりました。

 

マルチインプレッションシステムは1ステップ毎のマウスピース装着期間が長く、
矯正期間中に次のステップのマウスピースを作成するための型取りが必要です。

その都度、マウスピースの納品待ち期間が生じてしまいます。
そのため、総矯正期間が長くなりなりやすいという傾向があります。

ご自身にあったシステムを利用しましょう。

 

クリンチェック解説④ 25歳女性

2020年04月18日

クリンチェック解説④

 

25歳女性のケースです。

本ケースで矯正終了時の口腔内写真もご提示します。

主訴は上下の前歯の叢生(ガタガタ)です。

 

術前の口腔内写真です。

 

 

上下顎の前歯に叢生が見られます。
正面からみるとそれほど気にならないぐらいですが、
上顎面観では上顎前歯に翼状捻転(ねじれ)と叢生が確認できます。

 

下顎の叢生は軽度です。

 

 

ケースアセスメントによる診断です。

 

上下とも叢生の改善の難易度は低いとの判定です。

 

 

iTeroによるシュミレーションです。

 

 

上下とも叢生が改善されています。

 

インビザラインGOで矯正治療を進めていくことになりました。

 

次にクリンチェックです。

 

 

iTeroのシュミレーションとほぼ同じような矯正計画になりました。

 

 

上顎の歯は翼状捻転もあり中程度の叢生がありますので、IPR(歯と歯の間を削る)が設定されています。

 

下顎の叢生は軽度のため、IPRは必要のない計画となりました。

必要なステップ数は15ステップ、約5か月の矯正期間です。

この患者様は他県より通院されてこおられますので、通院回数をできるだけ少なくし、LINEのアプリを利用して経過観察を行いました。

 

 

矯正治療終了後の口腔内写真です。

 

クリンチェックで計画された歯並びとほぼ同じ歯並びを実現できました。

インビザラインではかなり正確に歯を動かすことができます。

これはマウスピース矯正の大きな長所と言えます。

続・保険で白い歯できる?

2020年04月18日

続・保険で白い歯できる?

前回は健康保険適応で可能な直接法での白い歯の治療を解説しました。

今回は間接法により保険でできる白い歯に関して解説します。

間接法とはいわゆる型取りを行い、作業用の模型を作成し修復物を作成します。

いわゆる銀歯など、金属を用いた修復物はすべて間接法で作成されています。

(注 アマルガム充填は水銀・銀・錫などを用いた合金で直接法で充填しますが、近年は用いられてない修復法なのでここでは省きます。)

この間接法ですが、白い歯を作ることも可能です。

 

形状により2種類に分かれます。

 

インレー

クラウン

 

素材としては

・コンポジットレジン
・セラミック

が用いられます。

なお、ハイブリッドセラミックと言われる材料もありますが、こちらはコンポジットレジンです。
自費治療用の開発されたコンポジットレジンで保険治療用のコンポジットレジンと混同しないようにハイブリッドセラミックと表現されることがあります。

 

インレー

部分的な詰め物です。
削った穴に、作成した詰め物をはめ込みます。
基本的に小さなむし歯の治療の時に選択される修復法です。

素材としては金属、コンポジットレジン(ハイブリッドセラミック含む)、セラミックが用いられます。
この中で健康保険適応でかつ白い素材はコンポジットレジンです。

 

コンポジットレジンインレーは型取りした模型上で作成します。
コンポジットレジンのペーストを窩洞(削った穴)に入れて、光を当てて固めて(重合させて)作成します。
ただし、完全には固まり切らず未重合レジンが残存します。
未重合レジンが存在すると強度の低下を招き、変色しやすくなります。

 

長所として

模型上で作成できるので直接法に比べ形が調整しやすい
また、出力の強い光照射器を用いてコンポジットレジンを固める(重合)させるので、強度も高くなる

 

 

短所として

直接法に比べて歯を削る量が多くなる
型取りする手間がかかる
健康保険では採算がとれない
強い力がかかる部位だと割れる
未重合レジンが存在するので変色する

 

クラウン

歯全体を被せる方法です。
歯の全周を削り、型をとりクラウンを作成します。

素材としてはインレーと同様に、金属、コンポジットレジン、セラミックが用いられ、
これらを組み合わせた修復物もあります。

健康保険適応で白いクラウンは

 

・硬質レジンジャケット冠
・硬質レジン前装冠
・CAD/CAM冠

があります。

 

 

硬質レジンジャケット冠

硬質レジンジャケット冠はコンポジットレジンインレーと同様に、コンポジットレジンでクラウンを作成します。
そのため、強度に劣るので噛み合わせの力が強くかかる部位には使用できません。
また、未重合レジンが残存するので変色してきます。
そのため、あまり用いられることはありません。

 

 

硬質レジン前装冠

金属のクラウンの表面にコンポジットレジンを貼りつけたクラウンです。
内側に金属が入っているため、強度があります。
また、表面に白いプラスチックを貼っているため表は白く見えます。

内側に金属が入っているため、光を透過せず白さに透明感がなく自然な見た目になりません。。
表面のコンポジットレジンは光照射で固めるタイプなので、未重合レジンが残ります。
そのため、変色して黄ばんできます。
また、金属からコンポジットレジンがはがれたり摩耗歯たりして内側の金属が露出してしまうこともあります。
金属を使用するので金属アレルギーの心配もあります。

欠点も多い修復物ですが、金属を使用しているため強度が高く、ブリッジなどにも対応できるためよく用いられる修復物です。

 

CAD/CAM冠

近年、健康保険に導入された修復物です。

CAD(computer-aided design)、コンピューターで修復物を設計します。


CADで設計した修復物をCAM(computer aided manufacturing)、コンピューターで制御された機械で作成します。

素材としては金属、コンポジットレジン、セラミックです。
健康保険で使用でき素材はコンポジットレジンです。

CAD/CAM冠で用いるコンポジットレジンは圧縮し強度を上げたうえで、ほぼ完全に重合させたものをブロック状にして使用します。
そのため、コンポジットレジンの欠点である強度と未重合レジンの問題を解決できます。

CAD/CAM冠用のコンポジットレジンブロック(以下、CAD/CAMブロック)を削り出して歯を作成します。

 

最近では健康保険でも大臼歯(条件付き)で適用されるようになりました。

未重合レジンがほとんど存在しないので、変色も少なくなります。

強度も高く、未重合レジンも少ないCAD/CAM冠ですが、欠点もあります。

欠点はブリッジには対応できない(健康保険では)こと、機械が高額ということです。

しかしながら今後は主流になる修復物と考えられます。

以上にように健康保険でも白い歯にすることは可能です。
修復法や修復材料、歯を削る量、噛み合わせなど様々なことを考慮しながら適切な治療方法を選択する必要があります。

かかりつけの歯科医師としっかりと相談して治療方法を選択しましょう。

保険で白い歯はできる?

2020年03月30日

保険で白い歯はできる?

 

最近では健康保険でも白い歯で治療できるケースが増えてきました。

今回はそれらについて解説します。

 

原則として健康保険は療養に対する給付なので、審美目的では健康保険は適応できません。

 

 

健康保険適応で白い材料での修復方法は2種類に分けられます。

 

直接法

 

直接法とはその名の通り、直接材料を詰めて治療する方法です。

また、むし歯を削った穴(窩洞)に材料を詰めていくので充填と呼ぶこともあります。

直接法では主に以下の2種類の方法があります。

 

・コンポジットレジン充填

・セメント充填

 

コンポジットレジン充填とは

むし歯を除去してできた穴にコンポジットレジン(CR)を詰めて修復する方法です。

直接法での治療はCRを用いることが多く、直接法=CR充填といっても過言ではありません。

 

コンポジットレジンは無機質からなるフィラーとマトリックスレジンで構成されています。

セラミックの粉末(フィラー)につなぎとして樹脂(マトリックスレジン)を混ぜ、

ペースト状にしているとイメージして頂ければわかりやすいと思います。

青い光を当てると固まるように設計されており、歯科用プラスチックと表現されることもあります。

 

コンポジットレジンの特徴としては

 

長所として

 

成形材料(プラスチック)なので、形が自由に作れる

色が白い

そこそこ強度がある

 

ということがあげられます。

コンポジットレジンには強度を上げるためフィラーが混ぜられています。

重量比で約70%ほどがフィラーなので、セラミックほどではありませんがそこそこ高い強度があります。

歯の色に合わせて多くの色調のペーストが用意されています。

 

 

そのため、前歯のむし歯や奥歯の小さなむし歯の治療によく使われます。

 

一方で欠点として

 

奥歯の強い力には耐えらない

変色する

治療手順が煩雑でテクニックセンシティブ

ということがあげられます。

 

コンポジットレジンは強度を上げるためのフィラーとマトリックスレジンの混合材料です。

そのため、セラミックと樹脂の長所を合わせ持ちます。

純セラミックに比べ、樹脂が含まれることでしなりが生まれます。

そのため、セラミックに比べて割れにくいこともあります。

 

ところが、直接法でのコンポジットレジンはお口の中で重合(固める)作業を行いますが、

樹脂を完全に重合させることができず未重合レジンが残存します。

(ホットケーキでいう生焼け状態です)

 

この未重合部分が残存することにより強度が下がったり、変色しやすい原因となります。

 

そのため、直接歯と歯がかみ合う咬場所にはコンポジットレジン充填はあまり選択されません。

直接咬合力がかからない部位には適している治療方法と言えます。

 

 

セメント充填

歯科用のセメント(粉と液を混ぜて固まるもの)をむし歯を除去した穴に詰める方法です。

歯科用のセメントは用途により多くの製品がありますが、むし歯などの修復治療に使われるものはグラスアイオノマーセメントにほぼ限定されます。

 

長所として

接着操作が不要なので、処置が簡便

フッ素を含むのでむし歯予防効果が期待できる

 

ということがあげられます。

セメント自体に歯とくっつく性質がありますので、CR充填とは異なり接着操作が不要です。

(ただし、接着力は低い)

また、フッ素を含有しているのでむし歯の予防効果も期待できます。

 

強度が低い

接着力が低い

ということがあげられます。

 

そのため、乳歯の治療や応急的な治療によく用いられる治療方法です。

 

CR充填、セメント充填のどちらも直接お口のなかで修復作業を行います。

また、材料自体の強度の問題もあり大きな穴を埋めたり、被せ物(クラウン)を作成することはできません。

 

このような場合は間接法による修復を行います。

 

 

 

 

 

クリンチェック解説③ 矯正の後戻りケース

2020年03月26日

クリンチェック解説③

25歳女性 矯正後戻りケース

 

インビザラインGOのクリンチェック解説です。

今回は以前に矯正治療を行っていた患者さんの後戻りケースについて解説します。

 

矯正治療後は必ず保定という歯を動かないように固定する必要があります。

特に矯正治療が終了した直後はすぐに歯が元の位置に戻ろうと動いていきます。

 

歯並びが悪くなる原因として

 

①先天性の原因(生まれつき)

 

②後天性の原因

 

の原因に分けられます。

 

歯列不正の先天性原因

 

・骨格

・歯の大きさ

・歯の数

 

などがあげられます。

 

これらは生まれつき決まっています。

 

 

先天性の原因による歯列不正を改善するため、

歯を抜いたり、歯を削るなどを行い、アーチレングスディスクレパンシーを改善し歯並びを改善していきます。

 

アーチレングスディスクレパンシーとは?

 

歯列弓(顎の大きさ)と歯の大きさの不調和のこと

歯列弓の方が大きい場合はいわゆるすきっ歯に、歯の大きさが大きい場合は叢生(ガタガタ)になる。

 

 

歯列不正の後天性原因

歯並びは顎の大きさを歯の大きさだけに影響を受けるわけではありません。

舌や唇、口の周囲の筋肉の影響を大きく受けます。

さらには姿勢や態癖も歯並びに影響します。

 

歯は筋肉の力のバランスがとれている所に並んでいきます。

舌は歯を前へ押し出そうとします。

一方で、唇は歯を内側に押し込めようとします。

 

舌と唇の力のバランスがとれているところに歯は安定します。

 

 

 

習癖も歯並びに影響を与えます。

指しゃぶりをしていると出っ歯になりやすいと聞いたことがあるかもしれません。

指をしゃぶる癖があると、上の前歯は前方へ押し出されていきます。

舌を突き出す癖があると歯は前に出ていきます。

舌唇を噛む癖があると、上の前歯は前へ押し出せれ、下の前歯は後ろへ押し込まれていきます。

 

 

態癖も歯並びに影響を与えます。

頬杖を突く癖があると、顎や歯列に力が加わり徐々に歯列が歪んでいきます。

 

このように歯並びに影響を与える因子は多く、これらを改善しなければ歯並びは悪くなります。

矯正治療が終わっても後天性の原因を改善しなければ歯並びは徐々に元に戻っていきます。

 

そのため、保定を行い後戻りを防ぎながら歯列不正の後天性原因を改善していく必要があります。

 

 

前置きが長くなりましたが、こちらは以前に矯正をされておられて後戻りをした患者様のケースです。

 

初診時の口腔内写真

 

 

 

下顎の前歯に捻転(ねじれ)が見られます。

 

 

 

 

矯正の後戻りケースの再矯正治療にはインビザラインGOは有効です。

 

以前に矯正治療をされているので、歯並びが悪くなる原因のアーチレングスディスクレパンシーがある程度解消されているためです。

 

しかしながら本ケースでは捻転の程度が大きいため、下顎の叢生治療の難易度は困難と考えれます。

 

ケースアセスメント

 

 

下顎の側切歯(前から2本目)の捻転が大きく、ケースアセスメントでは予想通り困難と判定されました。

 

それではクリンチェックで術後の矯正結果を見ていきます。

 

クリンチェック

 

 

ケースアセスメントでは下顎の叢生治療は困難と判定されましたが、

クリンチェックでは良好な矯正治療の結果が得られることがわかりました。

このように、ケースアセスメントでは困難と判定されても実際にはインビザラインGOで矯正治療が可能なケースは多いです。

しかしながら、下顎の捻転を治すには20ステージの矯正期間が必要となりました。

このように、捻転の矯正治療は叢生にくらべて治療期間が長くなる傾向があります。

 

 

これ以上後戻りをしていればインビザラインGOでの矯正治療は困難となり、ワイヤーでの矯正かインビザラインフルでの矯正治療が必要になるところでした。

そうなると治療期間が長くなるや矯正費用も高くなってしまいます。

 

矯正の後戻りケースではなるべく早めに再矯正を受けられることが望ましいですね。

 

クリンチェック解説② 20歳女性

2020年02月13日

クリンチェック解説② 20歳女性

 

クリンチェックの解説です。

患者様は20歳の女性です。

 

上の歯の歯並びが気になるということでマウスピース矯正を希望されました。

 

まずは口腔内写真を見ていきましょう。

 

口腔内写真

 

上顎の右側中切歯(左の一番前の歯)が口蓋側(内側)に転移しています。

右上の側切歯(向かって左の前から2本目の歯)が捻転(捻じれている)しています。

また、左上の側切歯(向かって右側の前から2本目)が口蓋側に転移しており、

その影響で左側中切歯(真ん中の向かって右側の一番前)が捻転しています。

 

クリンチェック解説①の症例と似たようなケースとなっています。

 

一方で下顎の歯並びは比較的きれいです。

 

上顎の歯列弓と歯の長さの不調和による叢生状態です。

また側切歯(前から2本目の歯)が大きく、歯列弓との不調和が生じやすくなっています。

最近ではこのような方が多く、顎は比較的小さいのに歯が大きくて歯並びが悪くなっているケースが多く見られます。

 

上顎の歯列不正を解消するためには

 

「歯を小さくする」

処置が必要です。

 

IRP(Interproximal Reduction)を行い、歯の大きさを調整することと歯を動かすスペースを確保する必要があります。

 

「IPR」とは

隣接面(歯と歯の間)をやすりやダイヤモンドポイントで0.1~0.5mmほど削る処置です。

 

 

ケースアセスメントを確認します。

 

 

ケースアセスメント

 

上顎の叢生治療の難易度は高めとなっています。

 

右側側切歯(向かって左側の前から2本目)がかなり捻転しています。

この捻転が本来の歯の位置から45度以上捻じれている場合はマウスピース矯正での治療難易度が高くなります。

 

この症例では比較的難易度の高いと言えます。

 

 

それではクリンチェックの結果を見ていきましょう。

 

 

 

クリンチェック

 

 

 

上顎はスペースを確保するためにIPRを行います。

IPRの量は0.3mmが5か所、0.4mmが2か所で、総合計は2.3mmです。

この2.3mmのスペースを利用して歯を動かします。

 

上顎の叢生もきれいに治っています。

また、右上側切歯の捻転も改善されています。

ただし、左上の第2小臼歯は歯列内に入り切ってはいません。

本症例では前歯部の歯並びの改善を最優先して計画を立てており、

小臼歯の歯並びを完全に改善することまではできませんでした。

 

 

「インビザラインGO」では矯正できる量に限界があるため、このようなプランになっています。

 

 

大臼歯を動かすことができる「インビザライン」であればさらに歯列を改善することが可能です。

 

患者様はインビザラインGOでのプランで満足されたので、このプランで矯正治療を開始することしました。

 

矯正期間は15ステージです。

期間は約6か月です。

 

 

 

 

最初の数ステップは各ステージ2週間ほどの装着期間で、その後は10日前後でのマウスピースを交換していきます。

 

クリンチェック解説① 21歳女性

2020年02月11日

クリンチェック解説① 21歳女性

実際のクリンチェックについて解説します。

 

 

患者様は21歳の女性です。

前歯の歯並びが気になるとのことで、インビザラインGOでの矯正治療を希望されました。

 

口腔内写真を見ると、上下とも前歯が叢生(ガタガタ)している状態です。

上顎の中切歯(真ん中の歯)がやや口蓋側(内側)に転移しています。
そのため、歯列弓が狭くなり左上の側切歯(向かって右側の前から2本目の歯)が捻転(捻じれている)しています。

歯列弓が狭くなると歯の並ぶスペースと歯の幅の調和が崩れてしまいます。
そのため、歯と歯が重なりあったり(叢生)、捻じれたり(捻転)する現象が生じます。

 

この状態を解消するには

 

① 歯列弓を広げる
② 歯を抜く
③ 歯を小さくする

 

これらのいずれか、もしくは組み合わせて歯を並べる必要があります。

 

ただし、①の歯列弓を広げる方法ですが成長が止まった成人では顎が大きく成長することはありません。
そのため成人矯正では②の歯を抜く、もしくは③の歯を小さくする方法がよく選択されます。

 

(軽度の叢生であれば歯列を少し外に出すことで見かけ上歯列弓を広げ、歯並びを改善することが可能です。)

 

歯列弓と歯の大きさの調和、噛み合わせなどにより矯正治療の難易度は変化します。
インビザラインGOでは顔貌写真と口腔内写真をInivisalign Photonavigaterというアプリで矯正治療の難易度を調べます。

 

(ライセンスを取得した歯科医師しか使用できません。)

 

写真を撮影して数分でアライン社から診断結果が届きます。

 

 

ケースアセスメントの結果

 

 

 

診断結果は

 

上顎の叢生 → 難易度 低
下顎の叢生 → 難易度 低

でした。

よって、この症例では比較的に簡単にインビザラインGOでの矯正治療が可能です。

 

 

クリンチェック

 

 

 

クリンチェックによるインビザラインGOでの術前術後のシュミレーションです。
上下とも叢生が改善されています。

 

歯列弓と歯の大きさの調和を取るため、歯と歯の間を0.5mmほど削り、歯を動かしていきます。

また、マウスピースでの矯正力を歯に効率よく伝えるためのアタッチメントを付与します。
上顎では8本の歯に、下顎では4本の歯にアタッチメントを付与する計画になっています。

(写真ではわかりやすい用に赤色で表示されていますが、実際は歯と同じ色のコンポジットレジンでアタッチメントを付与しますので、目立ちません)

 

矯正期間は16ステージで、約6か月です。

 

(1ステージでのマウスピース装着期間は1~2週間です。当院では最初の数ステージは2週間装着して頂き、その後は1週間から10日ほどでマウスピースを交換しております。)

 

矯正期間は16ステージで、約6か月です。

 

 

各ステージでの歯の動き方です。(上顎)

このようにマウスピースを交換しながら少しずつ歯を動かしていきます。

 

追加アライナーとは?

2019年12月15日

追加アライナーとは?

もし、マウスピース矯正をして予定通りに歯が動かなかったら?
マウスピース矯正は終わったけど、もうすこしここを動かしたい。

 

このようなことは多々あります。
ワイヤーでの矯正であれば途中で治療方針を変更することは可能ですが、
最終ゴールを設定して最終ステップまでのマウスピースを最初に作成するインビザライン(インビザラインGOを含む)では、治療計画の変更は困難なように感じます。

 

ところが、そのような状況に対応するためにインビザラインおよびインビザラインGOでは追加アライナーという仕組みがあります。
これは予定通りに矯正治療が進まなかった場合や、矯正治療は終了したけどもう少し改善したい時などに適用します。

 

医院によって異なりますが追加アライナーは無料または多少の追加料金で治療計画を再度立案し、マウスピースを追加できます。

最初のクリンチェックの作成と同様に口腔内のスキャンと写真を撮影し、追加アライナー作成用のクリンチェックを作成します。

 

実際の例を示します。

 

こちらはインビザラインGOでの矯正治療です。

 

左側は術前の口腔内スキャン、右側はインビザラインGOでの矯正終了時の歯並びです。

 

当初のクリンチェックでは下顎の第2大臼歯が若干外側に残ったままの治療計画となっています。
上顎は限界までIPR(歯と歯の間を削る)を行い、前歯を可能な限り後ろに下げています。
ですが若干の歯列不正が残っています。

 

この患者さんは協力度が高く、マウスピースもしっかりと装着しておりましたので1週間毎にマウスピースを交換し矯正治療を進めてきました。

最終ステージまで問題なく進みフィニッシュとするか、追加アライナーを作成してさらに改善させていくか?

患者様は追加アライナーを希望されました。

 

 

追加アライナーのクリンチェックです。

 

左側は最終ステージでの矯正が終わった時の口腔内のスキャンイメージです。
右側は追加アライナーによる新たな治療計画です。

わずかに残っていた上下の歯の歯列不正が修正されているのがわかります。

このように追加アライナーを使用することで最初の治療計画で定めたフィニッシュの改善も行うことができます。

インビザライン(インビザラインGO)にはこのようなシステムがあります。
安心して矯正治療をお受けください。

インビザラインとインビザラインGO

2019年11月23日

インビザラインとインビザラインGO

 

今回はインビザラインとインビザラインGOの違いについて解説します。

どちらも米国Align社が提供しているサービスです。

 

 

当院のマウスピース矯正のページはこちらです。

 

マウスピース矯正

 

インビザライン

インビザラインは1999年からアメリカでサービスが開始されたマウスピース矯正システムです。

現在までで約800万症例ほどの実績があるシステムです。

特徴としては大臼歯(奥歯)を含めてすべての歯を動かすことが可能です。

そのため、幅広いケースに対応ができるシステムです。

奥歯を動かすことができるということはそれだけ治療計画も複雑かつ高度になります。

また、治療費や矯正期間も従来のワイヤー矯正と同等かそれ以上となることも多くなります。

つまり、インビザラインは矯正治療に詳しい(矯正治療専門)の歯科医師向けのシステムと言えます。

 

インビザラインの派生システムとして

インビザラインライトパッケージ

インビザラインエクスプレスパッケージ

などがあり、軽度の症例に対応したプランもあります。

 

 

インビザラインGO

インビザラインGOはインビザラインのシステムはそのままに大臼歯を動かさず、

前歯のみ歯列矯正に特化したシステムとして開発されました。

大臼歯を動かさないため、対応できる症例は限られます。

また、矯正期間が20ステージまでに制限されています。

そのため、治療費や矯正期間が短くなるという特徴があります。

 

インビザラインとインビザラインGOの違いは

「大臼歯」を動かすか動かさないか?

ということです。

 

大臼歯はその名の通り、臼の形をしていて摂取した食物をすりつぶして飲み込みやすくする役目があります。

また、大臼歯には根が3~4本あり噛み合わせを支える役割もあります。

さらに大臼歯の位置により前歯が並ぶスペースが決定されるので、大臼歯の位置は前歯の歯並びにも影響します。

 

つまり大臼歯の位置が変わるということは、

噛み合わせの支え方や前歯の歯並びも変わってしまうということです。

 

大臼歯を動かして矯正治療を行うには矯正治療に関してより専門的な知識と技術が必要となります。また、状況によりワイヤー矯正などを組み合わせて矯正治療を行うケースもあります。そのため、矯正期間が長く治療費も高くなりがちです。

インビザラインは矯正治療を専門にしている歯科医師向けのシステムであり、症例としては難症例を含めた多くのケースで対応可能です。

 

一方、インビザラインGOは大臼歯を動かしません。そのため、噛み合わせの基準を変えずに矯正治療を行います。大臼歯を動かさないことで矯正治療もシンプルとなり、インビザラインに比べ治療期間が短く、治療費も抑えることができます。

インビザラインGOは一般歯科向けの矯正システムであり、症例としては軽度から中程度までの対応となります。

 

まとめると

 

軽度~中度の歯列不正の矯正治療

インビザラインGOでの矯正治療がお勧め

理由:矯正期間が短く、治療費が安い

 

中度~重度の歯列不正の矯正治療

インビザラインでの矯正治療がお勧め

理由:インビザラインGOでは対応できないため

 

いずれにしてもiTeroという口腔内スキャナーを用いて術後の簡易シミュレーションを行うことが可能です。

しっかりと担当医と相談して治療計画を立案していきましょう。

 

当院のマウスピース矯正の料金などはこちらをご参照下さい。

 

マウスピース矯正

 

 

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