2020年01月6日
インビザラインGOは矯正治療の後戻りにはどれだけ対応できるか?
矯正治療後には必ず保定が必要です。
保定とは矯正で動いた歯が元の位置に戻らないように固定することです。
保定装置(リテーナー)には様々な種類があります。
また、補綴装置(クラウンを被せて連結する)で永久保定する場合もあります。
それでは保定をしなかった場合はどうなるでしょう?
残念ながら、せっかく動いた歯が元の位置に戻ろうと動いてしまいます。
矯正治療後、保定をしっかりとしなかったために再度の矯正治療が必要になるケースは往々にしてみられます。
また、保定をしていても徐々に歯が動いてくることもあります。
矯正大国のアメリカでは矯正治療をされる方は一生のうちに2~3回の矯正治療を受けるそうです。
矯正をして、後戻りして、また矯正をしてを繰り替えすわけです。
特に初回にワイヤー矯正をされ方は2回目以降の矯正治療はマウスピース矯正を選択することが多いそうです。
矯正の後戻りケースにインビザラインGOは有効です。
実際のクリンチェックを見てみましょう。

このケースの患者さんは幼少時に矯正治療を受けておられましたが、保定をしていなかったため後戻りしてしまったケースです。
以前に矯正治療をされておられますので、アーチレングスディスクレパンシー(顎の大きさと歯の幅の不一致)がありません。
そのため、今回のインビザラインGOでの矯正治療計画ではIPR(歯と歯の間を削る処置)は不要となっています。
このケースでは下顎の側切歯(前から2本目)が捻転しているためマウスピース矯正の期間は長めになっています。
それでも20ステージで20~40週間ほどで矯正治療が終わります。
矯正治療の後戻りにインビザラインGOは有効です。
2019年12月31日
インビザラインGOでどこまでできるか? その2
今回もインビザラインGOでどこまでできるかをお示しします。
インビザラインGOはマウスピースをはめることで歯を動きます。
弾力性のある素材で歯を包み込み動かしていきます。そのため、ワイヤー矯正に比べて歯を動かしにくい状況もあります。
それは
① 矮小歯
矮小歯と呼ばれる小さな歯です。
特に上顎側切歯(前から2番目の歯です)です。
通常の歯は根本が細く、先端の幅が広くなっています。
ところが矮小歯はその名の通り、歯が矮小化しており先細りになっています。
そのため、マウスピースをはめてもうまく矯正力が伝わらず動きにくい傾向があります。
ワイヤー矯正の場合はブラケットと言われる器具を歯に貼り付けているのでこの心配はありません。
マウスピース矯正の場合、うまく矯正力を伝えるためにアタッチメント付与するなどの工夫が必要です。
② 捻転の大きな歯
捻転歯とは歯の向きが捻じれている状態です。
顎が小さく歯が並びきれないため、叢生(歯が重なりあった状態)や捻転状態になり歯並びが悪くなります。
叢生の場合、歯の向きはそれほど捻じれていないのでそれほど難易度は高くありません。
捻転の場合は軽度の場合はそれほど問題はありませんが、角度が45度以上も捻じれている場合は非常に困難となります。
しのため捻転歯を動かし、正常な歯列にするには時間がかかります。
これらの矮小歯や捻転には側切歯によく見られます。
矯正期間が20ステージに限定されているインビザラインGOには不向きなケースです。
では、実際のシュミレーションを見てみましょう。
まずはiTeroによるOutcome Simulatorによるシュミレーションです。


上顎の側切歯の歯列不正が矯正され、かなり歯列が改善されています。
ただし、右側側切歯(画面向かって左側の前から2本目)の捻転は完全には解消されていません。
このOutcome Simulatorのシュミレーションは当院では無料で行っております。
次に、クリンチェックの結果を見ていきましょう。

矯正期間が15ステージで、15~30週間つまり4~8か月です。
Outcome Simulatorとほぼ似たような結果となりました。
クリンチェックのほうが上顎前歯をやや後方に入れることが出来ています。
しかしながら右側側切歯の捻転は完全には解消されていません。
正常な歯の向きに比べ45度以上捻じれており、インビザラインGOではこれ以上の矯正は適応範囲を超えてしまいます。
そのため、この側切歯の捻転を改善するにはインビザラインフルやワイヤー矯正が必要になります。
そうなると費用面がさらにかかり、矯正期間も長くなります。
このようなケースでは患者さんとしっかりと話をしたい上で矯正治療の最終ゴールを決定する必要があります。
ご自身がどこまでを求めるかをしっかりと考えて矯正治療を始めるようにしましょう。
2019年12月28日
インビザラインGoでどこまで矯正治療ができるか?
インビザラインGoは大臼歯を動かさないため難しい症例には不向きです。
また、20ステージまでのマウスピース矯正なので、歯を動かす量には限界があります。
それではインビザラインGOでどれぐらいの矯正が可能でしょうか?
実際にクリンチェックで解説します。
当院のマウスピース矯正のページはこちらです。
マウスピース矯正
インビザラインGO

インビザラインGOのシステムでは歯を動かせる範囲は上記のようになっています。
ですが、これを見てもあまりイメージがつかないと思います。
そこで、実際のクリンチェックで解説をしていきます。
クリンチェックその1



このケースでは上顎前歯が翼状捻転(外に開くように捻じれている)しており、下顎の歯に比べ上顎が前に出ています。
一般的なワイヤー矯正では上顎の左右第1小臼歯を抜歯し、
上顎前歯を後方に下げる方法が一般的でしょう。
また、大臼歯を動かすことができるインビザラインであれば上顎の臼歯を奥に下げ、
下顎に臼歯を前に出すことで歯並びを改善できます。
奥歯を動かすことのできないインビザラインGOでは非常に難しいケースであると言えます。
では、インビザラインGoではどのように歯が並ぶでしょうか?



歯を抜かなくても、大臼歯を動かさなくても上顎の前歯の突出度が改善されていることがわかります。
IPR(歯と歯の間を削る)を左右第2小臼歯間すべてに行い、削る量を0.5mmに設定しすることで5,5mmのすき間を作り出しています。
このすき間を利用することで上顎前歯部を後方に移動させています。
また、前歯に角度を変えることで歯並びを改善しています。
これはインビザラインGoで動かすことのできる最大の移動量です。
どうでしょうか?
かなり改善できているのではないでしょうか?
制限の多いインビザラインでも矯正方法を工夫するとこれだけ歯を動かすことが可能です。
もちろん抜歯は行っていません。
さらにこのケースでは16ステージの治療計画となっています。
マウスピースの装着時間および歯の動き方にもよりますが、最短で16週間(4か月)で矯正治療が終わります。
インビザラインGOはインビザラインに比べて治療費も安く、矯正期間もかなり短くなります。
よりきれいに歯を並べるならインビザライン
手軽に矯正治療を行うならインビザラインGO
最終的なゴールをどのように設定するかで矯正システムを選んでいきましょう。
マウスピース矯正
2019年12月15日
追加アライナーとは?
もし、マウスピース矯正をして予定通りに歯が動かなかったら?
マウスピース矯正は終わったけど、もうすこしここを動かしたい。
このようなことは多々あります。
ワイヤーでの矯正であれば途中で治療方針を変更することは可能ですが、
最終ゴールを設定して最終ステップまでのマウスピースを最初に作成するインビザライン(インビザラインGOを含む)では、治療計画の変更は困難なように感じます。
ところが、そのような状況に対応するためにインビザラインおよびインビザラインGOでは追加アライナーという仕組みがあります。
これは予定通りに矯正治療が進まなかった場合や、矯正治療は終了したけどもう少し改善したい時などに適用します。
医院によって異なりますが追加アライナーは無料または多少の追加料金で治療計画を再度立案し、マウスピースを追加できます。
最初のクリンチェックの作成と同様に口腔内のスキャンと写真を撮影し、追加アライナー作成用のクリンチェックを作成します。
実際の例を示します。
こちらはインビザラインGOでの矯正治療です。



左側は術前の口腔内スキャン、右側はインビザラインGOでの矯正終了時の歯並びです。
当初のクリンチェックでは下顎の第2大臼歯が若干外側に残ったままの治療計画となっています。
上顎は限界までIPR(歯と歯の間を削る)を行い、前歯を可能な限り後ろに下げています。
ですが若干の歯列不正が残っています。
この患者さんは協力度が高く、マウスピースもしっかりと装着しておりましたので1週間毎にマウスピースを交換し矯正治療を進めてきました。
最終ステージまで問題なく進みフィニッシュとするか、追加アライナーを作成してさらに改善させていくか?
患者様は追加アライナーを希望されました。
追加アライナーのクリンチェックです。



左側は最終ステージでの矯正が終わった時の口腔内のスキャンイメージです。
右側は追加アライナーによる新たな治療計画です。
わずかに残っていた上下の歯の歯列不正が修正されているのがわかります。
このように追加アライナーを使用することで最初の治療計画で定めたフィニッシュの改善も行うことができます。
インビザライン(インビザラインGO)にはこのようなシステムがあります。
安心して矯正治療をお受けください。
2019年12月14日
iTeroシミレーションの予測実現性について
インビザライン(インビザラインGOを含む)ではアウトカムシュミレーターとクリンチェックの2種類のシュミレーションがあります。
この2種類について混同しやすいので詳しく説明します。
口腔内スキャナのiTeroで歯をスキャンするとその場ですぐに矯正シミュレーションができます。これをアウトカムシュミレーターと言います。
このアウトカムシュミレーターはインビザライン社の蓄積された600万件以上の症例データーを元に矯正結果をシュミレーションしています。
実際にインビザライン(GOを含む)でマウスピース矯正を行う場合は、iTeroでスキャンしたデータを米国のアライン社に送信し、クリンチェックと呼ばれる治療計画を作成します。
では、アウトカムシュミレーターとクリンチェックは何が違うでしょうか?
クリンチェックでは矯正治療の最終的なゴールを設定します。
マウスピース矯正に必要なステージ数や、効率よく歯を動かすためのアタッチメントの取り付け部位や形状、
IPR(歯と歯の間をわずかに削る処置)の部位と量を決定します。
これらを歯科医師、患者様と相談し決定していきます。
すなわちクリンチェックとは最終的な矯正治療のゴールを決定するための治療計画です。
一方で、アウトカムシュミレーターはあくまでも術後のシュミレーションです。
アライン社に蓄積された膨大な治療データからシュミレーションを行っております。
そのため、必ずしもクリンチェックと同じ歯並びがシュミレートされるわけではありません。
では、アウトカムシュミレーターでシュミレーションした結果と、実際にクリンチェックを行った歯並びにはどれほど違いあるでしょうか?
アウトカムシュミレーターでのシュミレーション


(注 このアウトカムシュミレーターはWEB版で第1大臼歯までの矯正シュミレーションとなっております。実際のiTeroでアウトカムシュミレーターは第2大臼歯まで動かすシュミレーションを行います。)
クリンチェックで作成した最終的な治療計画

実際にはアウトカムシュミレーターでもクリンチェックにかなり近い結果をシュミレートしていることがわかります。
(iTeroでのアウトカムシュミレーターは第2大臼歯まで動かした結果をシュミレートしますので、実際はさらにクリンチェックに近い結果が出ます)
インビザラインGOは奥歯を動かさないため、矯正プランがシンプルになります。
そのため、アウトカムシュミレーターでのシュミレーションとクリンチェックでそれほど大きな違いが生じにくい傾向があります。
矯正治療をするかどうかを迷っている場合、
まずはiTeroを導入している歯科医院でアウトカムシュミレーターによるシュミレーションをお勧めします。
その結果をみて、
インビザラインGOでマウスピース矯正を行うか?
インビザラインで矯正を行うか?
それとも従来のワイヤー矯正を行うか?
実際のシュミレーション画像を見ながら相談をすることでよりご自身にあった矯正方法を選択することをお勧めします。
2019年11月23日
インビザラインとインビザラインGO
今回はインビザラインとインビザラインGOの違いについて解説します。
どちらも米国Align社が提供しているサービスです。
当院のマウスピース矯正のページはこちらです。
マウスピース矯正
インビザライン

インビザラインは1999年からアメリカでサービスが開始されたマウスピース矯正システムです。
現在までで約800万症例ほどの実績があるシステムです。
特徴としては大臼歯(奥歯)を含めてすべての歯を動かすことが可能です。
そのため、幅広いケースに対応ができるシステムです。
奥歯を動かすことができるということはそれだけ治療計画も複雑かつ高度になります。
また、治療費や矯正期間も従来のワイヤー矯正と同等かそれ以上となることも多くなります。
つまり、インビザラインは矯正治療に詳しい(矯正治療専門)の歯科医師向けのシステムと言えます。
インビザラインの派生システムとして
インビザラインライトパッケージ
インビザラインエクスプレスパッケージ
などがあり、軽度の症例に対応したプランもあります。

インビザラインGO

インビザラインGOはインビザラインのシステムはそのままに大臼歯を動かさず、
前歯のみ歯列矯正に特化したシステムとして開発されました。
大臼歯を動かさないため、対応できる症例は限られます。
また、矯正期間が20ステージまでに制限されています。
そのため、治療費や矯正期間が短くなるという特徴があります。

インビザラインとインビザラインGOの違いは
「大臼歯」を動かすか動かさないか?
ということです。
大臼歯はその名の通り、臼の形をしていて摂取した食物をすりつぶして飲み込みやすくする役目があります。
また、大臼歯には根が3~4本あり噛み合わせを支える役割もあります。
さらに大臼歯の位置により前歯が並ぶスペースが決定されるので、大臼歯の位置は前歯の歯並びにも影響します。
つまり大臼歯の位置が変わるということは、
噛み合わせの支え方や前歯の歯並びも変わってしまうということです。
大臼歯を動かして矯正治療を行うには矯正治療に関してより専門的な知識と技術が必要となります。また、状況によりワイヤー矯正などを組み合わせて矯正治療を行うケースもあります。そのため、矯正期間が長く治療費も高くなりがちです。
インビザラインは矯正治療を専門にしている歯科医師向けのシステムであり、症例としては難症例を含めた多くのケースで対応可能です。
一方、インビザラインGOは大臼歯を動かしません。そのため、噛み合わせの基準を変えずに矯正治療を行います。大臼歯を動かさないことで矯正治療もシンプルとなり、インビザラインに比べ治療期間が短く、治療費も抑えることができます。
インビザラインGOは一般歯科向けの矯正システムであり、症例としては軽度から中程度までの対応となります。
まとめると
軽度~中度の歯列不正の矯正治療
インビザラインGOでの矯正治療がお勧め
理由:矯正期間が短く、治療費が安い
中度~重度の歯列不正の矯正治療
インビザラインでの矯正治療がお勧め
理由:インビザラインGOでは対応できないため
いずれにしてもiTeroという口腔内スキャナーを用いて術後の簡易シミュレーションを行うことが可能です。
しっかりと担当医と相談して治療計画を立案していきましょう。
当院のマウスピース矯正の料金などはこちらをご参照下さい。
マウスピース矯正
2019年11月4日
インビザラインGOを第1選択のシステムとした理由
現在、多くのマウスピース矯正システムが存在することを前回と前々回の記事で触れました。
今回の記事ではなぜ当院がインビザラインGOを第1選択にしているかを報告したいと思います。
今までの記事でマウスピース矯正は型取りが1回で済むワンインプレッション型と、
複数回の型取りを行うマルチインプレッション型のシステムに分けられることを報告しました。
(注 正式な分類ではありません。わかりやすく説明するために私が便宜的に分類したものです。)
当院では見た目を良くする審美歯科治療に力を入れております。
そのため、
①矯正期間が短く
②シンプルな術式
③確実に歯が動く
マウスピース矯正システムを用いる必要があります。
特に矯正期間を短くするためにはワンインプレッション型のシステムが最適です。
また、確実に歯を動かすためにはマウスピースが歯にフィットしなければなりません。さらに、歯を効率よく動かすため、歯に適切な力を加えるアタッチメントの存在が必要です。
それらを踏まえ、当院で治療可能なマウスピース矯正システムは
・インビザライン
・インビザラインGO
・クリアコレクト
の3種類になります。
インビザライン

インビザラインは世界で最も症例数が多く、信頼性の高いシステムです。
ただし、前歯だけでなく奥歯の歯並びも動かすシステムなので矯正期間が長くなります。
また、ワンインプレッション型のマウスピース矯正システムは、スタートからゴールまでのマウスピースを一度に作成します。
そのため、矯正期間中のむし歯の治療が困難になることもあります。
インビザラインは手軽に矯正をするシステムというよりは、奥歯を含めた歯並び全体を治療する矯正システムで、矯正治療に詳しい歯科医師が用いるべきシステムとも言えます。
ちょっとだけ歯並びを治したいという方の矯正治療をするにはやや大げさな治療方法とも言えます。
インビザラインGO

インビザラインGOは2018年から日本でも使用可能になったインビザラインの一つです。
インビザラインGOはインビザラインシステムはそのままに、大臼歯は動かさす前歯(小臼歯も含む)のみに特化しているマウスピース矯正システムです。
噛み合わせの基準となる奥歯を動かさないので、矯正期間が短くなります。
また噛み合わせの高さを変えないのでトラブルも生じにくいシステムと言えます。
そのため、前歯の見た目だけを改善したい場合にはとても有効なシステムです。
ただし、小臼歯(前から5本まで)までしか動かせないため適応できる症例には限界があります。
また、作成できるマウスピースも20ステージまでとなっていますので、中から重度の叢生(歯のガタガタ)には不向きです。また、歯を抜かないといけないようなケースには対応できません。
マウスピース矯正の装着期間は1ステージ1~2週間なので、インビザラインGOの矯正期間は最長でも40週間(10か月)となり、
非常に短い期間で矯正治療を終えることができます。
クリアコレクト

クリアコレクトはインビザラインと良く似たシステムとなっております。
インプラントではTOPシェアのストローマン社が提供しているサービスであり、信頼できるメーカーです。
インビザラインとクリアコレクト
インビザライン系(インビザラインGOを含む)とクリアコレクトの違いはiTeroによる術前の簡易シュミレーションができるかできないかにあります。
インビザライン系ではiTeroという光学スキャナーで歯の形をスキャンするとその場ですぐに矯正後の歯並びをシミレーションすることができます。
このシミレーションはインビザライン社に蓄積された700万以上の症例を元にAIが行います。
あくまでも簡易のシミレーションではありますが、このシミレーションを元に治療計画を相談することができます。
iTeroとは

iTeroは歯科用の光学式の口腔内スキャナーです。従来の型取りとは異なり、写真を撮影するように歯の形を読み取ります。スキャンするとその場ですぐに矯正後の簡易シミレーションができます。また、データーをアメリカのインビザライン社に直接送ることができるので、マウスピース矯正をすぐに始めることができます。
インビザラインGOにした理由
ちょっとだけ歯並びを治したい。
前歯のここだけを治したい。
でも、
ワイヤーを付けてまで矯正はしたくない
奥歯までの本格的な矯正までは必要ない
という患者様のご希望をよく聞きます。
噛み合わせが安定していて、軽度の叢生(歯のガタガタ)であれば矯正期間が短く、費用をなるべく抑えたシステムが望ましいです。
また、矯正治療前に実際にどのような歯並びになるのかがある程度わかれば適切な矯正方法を選択することができます。
以上のことを踏まえ、当院ではiTeroを導入してインビザラインGOを中心にマウスピース矯正をお勧めしています。
術前シミレーションをすることでインビザラインGOでは困難なケースであれば、当院の矯正医でインビザラインでマウスピース矯正治療や、従来のワイヤー矯正も可能です。
どのシステムや治療方法にも一長一短ありますので、しっかりと検討してご自身にあった治療方法を選択していきましょう。
2019年10月22日
続・マウスピース矯正のメーカ選択について
前回の記事でマウスピース矯正のシステムについて大まかに2種類に分けられることについて述べました。
それぞれのシステムに特徴があり、どのシステムを選択するかが重要となります。
当院では今までの経験を踏まえてなぜ現在インビザラインGOを中心にマウスピース矯正を行っているのかを解説します。
当院はもともとマウスピース矯正を積極的に行う予定はありませんでした。なぜなら、マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べコストが非常に高くなります。そのため、矯正料金も高くなります。矯正専門の医院ではない当院ではあまり需要がないと考えていたからです。
当院ではホワイトニングやセラミック治療など審美歯科治療に力をいれております。それらの治療を受けておられる患者様からマウスピース矯正をしたいとの要望を聞くことが多くなってきました。また、歯並び全部ではなく前歯だけを部分矯正を望む声を多く聞きました。
そのため、マウスピース矯正で前歯を中心に歯並びを整えるシステムで、なおかつ治療費を安く提供できるシステムを探し、スターアラインのシステムを導入しました。

スターアラインシステムは先日の記事の分類ではマルチインプレッション型の矯正システムです。数ステージ毎に型を取り、マウスピースを作成していきます。また、診断は顔貌写真(顔の写真)、レントゲン写真、上下の歯型の型取りを用意するだけで矯正方法や最終的な歯並びのゴールの設定はシステム側ですべて行います。そのため、矯正専門の医院でなくても気軽に導入できるシステムです。
(インビザラインは本来、矯正専門医が使用するシステムです)
また、前場のみを動かす矯正システムなのでインビザラインに比べるとコストを抑えることができるため治療費も安くできるメリットがあります。
マウスピースは1ステージにつきソフトタイプを1週間装着後、ハードタイプを2週間装着します。4ステージ毎に型取りを行い、マウスピースを新たに作成していきます。

インビザラインシステムのようなアタッチメントシステムはありません。
アタッチメントとは?
歯の表面にコンポジットレジンで突起を付与し、歯を動かすシステムのこと

赤色の突起がアタッチメント、実際は歯と同じ色のコンポジットレジンを用いますので、目立ちません。
上記の特徴によりスターアラインは矯正専門の歯科医院でなくてもマウスピース矯正が比較的簡単に行えるシステムです。
欠点しては治療期間が長くなりがちになります。4ステージ毎に印象を採りマウスピースを作っていきますので、新しいマウスピースが納品されるまでは矯正治療が進まなくなります。またアタッチメントが無いので歯を動かすスピードが遅くなり、矯正期間が長くなることがあります。
スターアラインの特徴をまとめると
長所
- 矯正専門の医院でなくてもマウスピース矯正ができる。
- 4ステージ毎に印象を取り直すので、矯正期間中のむし歯の治療が可能。
短所
- 矯正期間が長くかかることがある。
- アタッチメントが無いため、歯が動くのに時間がかかる。
- 意外とコストが高くつく
- インビザラインのように即時で矯正シミュレーションができない
以上がスターアラインを使用して当院の院長が感じた感想です。
マルチインプレッション型のマウスピース矯正は手軽に始めやすいメリットがありますが、矯正期間が長くなる傾向があるように思います。
次回はインビザラインやクリアコレクトのようなワンインプレッション型のマウスピース矯正のシステムを取り上げる予定です。
2019年10月17日
マウスピース矯正のメーカ選択について
現在、多くのマウスピース矯正のシステムが開発されています。私がセミナーを受講しライセンスを取得し当院で使用可能なシステムを挙げると、
- インビザライン(インビザラインGO)
- ASOアライナー
- スターアライン
- クリアコレクト
- シースルアライナー
のシステムを用いて当院でマウスピース矯正が可能です。
また、私がライセンスを取得していないメーカも数多くあり、一体どのシステムが良いのか迷ってしまう現状があります。
私が使用しているマウスピース矯正システムでどのような特徴があるのかを私見ではありますが、ご報告したいと思います。
現在、マウスピース矯正が大きく分けて2種類の方法があります。
一つはインビザラインに代表される印象(歯型の型取り、または口腔内スキャン)が最初の1回のみ行うもの。
もう一つはASOアライナーに代表される3~4ステージごとに複数回の印象を行うものに分けられます。
便宜的に印象が1回で済むシステムをワンインプレッションシステム、複数回の印象を行うシステムをマルチインプレッションシステムと分類します。
(注 あくまで私が便宜的に分類したもので一般的な分類ではありません)
私が使用しているマウスピース矯正システムを上記の分類で分けると
ワンインプレッション型

- インビザライン(インビザラインGO)
- クリアコレクト
マルチインプレッション型

- ASOアライナー
- スターアライン
- シースルーアライナー
となります。
それぞれのマウスピース矯正システムの特徴は
ワンインプレッション型の特徴
- 型取りが1回で済む
- マウスピースの型さは1種類で、1~2週間ごとにステージが進む
- 矯正治療の進行がスムースに進みやすい
- 一方で、矯正期間中にむし歯の治療が困難
- 途中で矯正治療の歯並びを変更することが困難
(矯正スタートから終了までのマウスピースを最初の1回の印象のみで作成するため)
マルチインプレッション型
- ステージの進行に応じて印象をとるため、途中で治療計画の変更が可能(メーカによる)
- 矯正期間中にむし歯の治療が可能
- 数ステージ毎に印象が必要となり、矯正期間が長くなる。
- 2種類の型さのマウスピースを使用するため1ステージ毎の期間が長い
矯正料金については医院ごとに異なりますのでここでは触れません。
これらの特徴を考えてどのマウスピース矯正システムを使用するかを考えていく必要があります。
当院では色んなシステムを用い比較検討した結果、現在ではインビザラインGOシステムを中心にマウスピース矯正を行っております。
これについてはまた詳しく解説していきたいと思います。
2019年10月9日
「ブログ」を新設致しました。
今後ともよろしくお願い致します。